Ｎｏ．３０ ページ47
「…。」
最初の訓練が終わり、緑谷出久以外の三人が戻ってきた。
戦闘訓練中の声こそ聞こえなかったが、『テレパシー』で伝わってくる爆豪勝己の心情が痛々しい。戻ってきただけでもそれなのに、八百万百の講評でもっと痛々しくなった。
長く生きているものだから心壊れた者も知ってるけど、これは…。正直とても気の毒だと思う。
きっと爆豪勝己は同情されるのも下手に褒められるのも嫌だろうが、流石にこれは気の毒すぎたので、麗日お茶子におつかれと声をかけてしれっと爆豪勝己の隣に並ぶ。
何か言われるかなーとは少し思ったけど、ちらっと見られたあとは何も言われず。それをいい事にそのまま自分の番が来るまでそこにいた。
「それじゃあ次は最後かな？！」
「ラストは…Ｂコンビが『ヒーロー』！！Ｋが『敵』だ！！…と、それだとＢコンビがまた同じになるのか。」
「いいですよ、俺らは。」
「特に問題は無いしな。」
「お、そうかい？！ありがとう、轟少年と障子少年！！」
「じゃあ早速始めよう！場所はさっきの建物の二件先でよろしく！！」
その声に頷き、ギンの肩を叩いて行くよと合図する。女子組にがんばれ、と応援されたのでとりあえず笑って手を振っておいた。
さて、腕の見せ所かな。
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
「…ギン、君なら言わなくても大丈夫だよね。」
「がうー！」
「はは、いい子だ。…少し本気出しちゃおっか。」
障子目蔵対策で作戦はアイコンタクトで。何せ何百年も一緒に居るんだ。『テレパシー』使わなくても高校生のイキってる相手ぐらいは何も言わずに伝わるさ。
そんな感じで作戦を立て終わったその時、ひんやりとした空気が運ばれてきた。そして自分は
「ほら、オールマイト。言った通りだろう」
余裕な態度で自分の横を通り過ぎていこうとした轟焦凍。それを悔しげに見つめる希求A…なんて。
仲間との連隊すら取れてない人に、そんな顔するわけがないじゃん？
「一体どうしてこんな作戦で勝てると思ったんだい？」
さっきまでの悔しげな態度を一変し、少し笑って指を鳴らす。それを合図に風で氷を全て剥がして粉々にした。
「…っなに、」
「その一瞬が命取り…ってね。」
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
