Ｎｏ．２５ ページ42
「ねぇねぇ、お二人さんって何通学？」
「自分は電車だよ」
「私は車ですわね…。」
「そうなんか！え、Aちゃん、一緒に帰らない？」
「じゃあそうしようかな。…また明日ね、八百万。」
「ええ、また明日。」
個性把握テストが終了し、今日の課程が全て終わった。とりあえず着替えて教室に戻り、八百万百とだべっていると麗日お茶子が一緒に帰ろうと言ってきてくれた。どうやら同じ方面の人を探していたらしい。
電車通学といえば蛙吹梅雨もいた気がするが、最初に声をかけたのが自分達だったのだろう。そのまま八百万百に挨拶し、教室を出た。
ってあれ、ギン着いてきてない…？
何やってんだと思い、麗日お茶子に一声かけてから教室を覗こうと思ったが、そこまでしなくてもいいか。声をかけるだけにしておこう。
「ギン、早くしないと置いていくからね」
「が、がうー！」
適当なとこを向いて喋れば、一拍置いてギンの声が聞こえた。それとともに横から軽く風が吹く。頭を寄せてきたので撫でてやれば、ゴロゴロと喉を鳴らした。お前は猫か。
ふと、横からの視線が気になり目線をそちらに向ければ、キラキラと瞳を輝かせた麗日お茶子が。…もしかして。
「…さわる？」
「…！！いいのっ？」
「いいよ。ほら、こっち来な。」
聞けば案の定そういう事だったので、こっちに寄らせてモフらせる。ふにゃりと解けた表情に気を良くし、ちょっとした提案をしてみた。
「すっごいもふもふ…。」
「いい毛並みでしょ。乗ってみるかい？」
「まぁ危ないから下駄箱までになっちゃうけど…。」
「それでもいい！乗ってみたい！」
素晴らしい笑顔に提案してよかったな、と思いつつ、微笑みながら了承し、ギンに麗日お茶子を乗っける。ギンを屈ませて乗らせようかとも思ったが、結構振動があるので危ないかと思いやめた。
まぁ一歩歩くごとに楽しんでいる麗日お茶子の事だから、屈ませて乗らせても良かったかもしれないけども。
キャーキャー言いながら楽しんでる麗日お茶子を見れば、そんな細かいことはどうでも良くなった。
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
