Ｎｏ．２２ ページ39
「緑谷くんはこのままだとマズいぞ…？」
「ったりめーだ！無個性のザコだぞ！」
「無個性？！彼が入試時に何を成したか知らんのか！？」
「は？」
右隣で爆豪勝己と飯田天哉が騒いでいた。…落ち着けよ、二人共。
…お、そろそろ投げるのか。頑張れ、緑谷出久。ここからが本番だぞ。
「46ｍ」
「な…今確かに使おうって……。」
「"個性"を消した。」
自分的には"個性"無しで46とかめっちゃ飛んでるイメージなんだけど、やっぱ"個性"ありと比べちゃうとね〜。
因みに。この体力テストが始まる前に相澤消太が言ってた事、つまりなんで"個性"無しの記録をとってるんだっていうやつだけど。あれの犯人は自分です。
だって…ねぇ？元の力がわからないと無茶しそうだから、この体力テストに関しては自分が文部科学省に頼んだんだよ。
だってそうじゃない？それに…いや、なんで自分今こんな事考えてるんだろ。折角の相澤消太のかっこいいシーンなんだから集中しなきゃ。
「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学できてしまう。」
「消した…！！あのゴーグル…そうか……！」
「抹消ヒーロー イレイザーヘッド！！！」
その言葉を聞き周りが一気にザワつく。イレイザーヘッドはアングラ系だからね〜。表の人でなかなか知らない人の方が多いのは仕方ないよな。
とかなんとか言ってる間に相澤消太が捕縛機で近くに寄せていた。除籍宣告(仮)だよね〜確か。
「彼が心配？僕はね……全っ然」
「…だれ？」
麗日お茶子が言う前につい口から声が零れた。いや、流石に名前は知ってるけどさー？つい、ね。
「指導を受けていたようだが…。」
「除籍宣告だろ。」
「…それはどうかな。」
独り言みたいなものなんだったんだろうけど、お年寄りみたく口を挟んでしまった。やだなー、こういう所で歳を感じたくなかったよ…。
ここで黙ってもいいんだけど、流石にこの視線をスルーするのは厳しいから一言だけ話した。
「彼はまだ、諦めていないよ。」
結構その声は響いたらしく、みんなの視線が集まると同時に緑谷出久が投げた。ありがとう緑谷出久…！結構恥ずかしかったから助かったよ…！！
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
