Ｎｏ．１１ ページ28
『風』で足場を作りながらどんどんと駆け上がっていく。
飛んだ後はすぐ消しているので、傍から見たらゲームとかでよくあるやつに見えるんじゃないかな。まぁ実際そうなんですけどね。
そんなこんなでギミックの1番上までくれば、それと同時にプレゼント・マイクの『YEAHHH！！』と叫ぶ声が聞こえた。
緑谷出久がギミックを倒したんだろうな。ということはあと1分5秒…。
「…余裕だな」
ゆっくりと腕を振りかぶるギミックを鼻で笑い、指で鉄砲の形をとる。
本来ならライダーキックするんだけど、"個性"的にこっちの方がいいと思ってね。…ちょっと厨二くさいし、バレるかもしれないんだけど。
ギンの上に立ち、飛び上がる。ギンが風に戻った。その場でくるっと一回転して、標準をギミックの目に合わせる。
「ばーん」
その一瞬で撃つ素振りをすれば、自分の指先から風の状態のまま狼を象ったギンが勢いよく出てきた。
そしてそのままギミックを貫き、連鎖的に爆発が起き倒れていく。倒れた先には…誰もいない。
よし、と安心する前に指笛でギンに戻ってもらう。じゃないと素足で着地した時怪しまれちゃうからね。
戻ってきたギンに乗っかって捕まり、風を起こして着地する。上手くいった…と思ったが、その風圧で近くにあった瓦礫が崩れてきた。
避けてもいいけど、それは完璧過ぎるからやめておいた。
ということでこれ治すの大変そうだなー、と何処か他人事のようにそれを見つめれば、さっと視界に入ってきた黒髪。
「うぉぉぉおおお！！」
さっきのギミックを壊した時も瓦礫を避けるために"個性"をフル活用していたので、きっと辛いだろうに。切島鋭児郎は最後の力を振り絞って目の前に迫り来る瓦礫を砕いた。
『終、了〜！！！！』
その言葉が辺り一面に響き渡ると同時に切島鋭児郎がふらりと倒れかける。それを慌てて支え、ギンに乗せた。
いや、別に自分が運んでもよかったんだけど、漢気を求める彼にはさすがに不憫かなって思ってさ…。
そんな事を考えながら切島鋭児郎含め動けない3人をギンに乗っけて、ほかの動けない2人を抱える。あとの2人は後から歩いて付いてきてもらってるよ。
２〜３分歩いて着いた入口付近の広場には既にリカバリーガールがいたので、とりあえず全員預けて会場を後にした。
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
