Ｎｏ．９ ページ26
実技試験会場に一番乗りでつき、ギンを方から下ろして本来のサイズに戻した。イメージはもの〇け姫の犬神様ぐらいのサイズだよ。
最初の頃から比べてでっかくなったな…と腰につけているウエストバッグからブラシを取り出し、ほかの受験生が来るのを待つ。
因みにジャージに着替えてきてるから多少の無茶はできそうな感じ。
とりあえずギンに乗っかって噛みちぎってもらったり殴ったりすればいいよね。『身体能力強化』で３Ｐぐらいだったら突っつくだけで壊れるんだ()
なんか聞かれたら『風獣』で風纏って殴ってましたって言えばいいし…。うん、そうしよう。
考えがまとまり、そろそろかなとブラシをしまう。そこそこ集まってきている人を見渡せば、見覚えのある赤い猫目が…？
もしかしてあれ、切島鋭児郎じゃね？と思いつつもプレゼンのときやらかしてるから視線が痛い。
いや、自分は大丈夫なんだけど、下手に声掛けて切島鋭児郎にも視線がいったら可哀想なので泣く泣く話しかけるのを諦めた。
ということで暇になったな、と後ろの高い塔みたいな方を見上げれば、プレゼント・マイクが既に立っていた。…そろそろか。
「…行くよ。」
ギンの首を叩いたと同時に「ハイスタートー！」と声がかけられる。颯爽と背中に飛び乗り、ギンに吠えてもらいながら走り出した。
周りの人間は一瞬惚けた後、流石ヒーローを目指している人間と褒めるべきか。自分の跡を追うように一斉に飛び出してきた。…でも、残念だったね。
「ここら辺のＰは全部貰ったよ…！！」
ギンの声に反応してやってきたロボットを踏み潰して、噛みちぎって、殴って、蹴って。
プレゼント・マイクの声が聞こえ終わる頃には20を超えるロボットを壊していた。
「やべぇ！ここら辺のロボット全部あのプレゼンの女子が潰してる！！」
「早くしなきゃ全部あの女子に取られるんじゃねぇか…？」
「邪魔だ退けろ！！」
「きゃっ！！」
どんどんやってくるロボットを流れるように壊していけば、やっと追いついた様の受験生達の焦った声。
それだけならまだいいものを、誰かが妨害とも取れる行為をしたらしい。
仕方ないな、と頬をかきギンから飛び降りた。
「大丈夫？」
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
