Ｎｏ．２ ページ19
話終わったあとは三人のTシャツにサインをしてあげ、上手いことを言って帰らせた。
見えなくなるまでこちらに手を振りながら帰る姿に笑が零れる。
完全に見えなくなった後は、緑谷出久に向き合る。後ろに隠れていた子どもはいつの間にかいなくなっていた。
「放置しちゃってごめんね…。」
「い、いえ！！」
両手を目一杯広げ、一生懸命に否定を表す。その姿がとても可愛くて、つい笑い声が漏れてしまった。
ポカンとしている緑谷出久の頭を撫でながら、ごめんごめんと謝る。1つ深呼吸をして笑いを抑えた。
「君、凄いね。」
「…へ？」
「だって君、世にいう"無個性"なんだろう…？なのに立ち向かうことが出来るなんて。」
「自分的には、とってもヒーローに向いていると思うよ。」
そう言えば、緑谷出久は涙目になって下を向いた。
「…ほんとう、ですか？」
何を言うかと思えばそんなことで。自分は再び微笑みながら頭を撫でる。
「本当の本当さ。＿＿君は、ヒーローになれる。」
ウォルクの御墨付きだから誇っていいよ。と言えば、緑谷出久は号泣しながらありがとうございますを繰り返した。
それに何も言わず、自分は頭を撫で続ける。
…て、言ったあとだけど。これ、言ってよかったの…？
やばいやばいこのままだとオールマイトn番煎じになっちゃうよああーえっととりあえず何か言わないと…！
「…あと、ヒーローになるんだったら、助ける時は必ず笑顔でいるといいよ。それだけで被害者は安心する。」
まぁ自分が言っても説得力無いけどね。アドバイスだと思ってやって見るといいよ。
そんなことを言ってやれば、緑谷出久は残像が見えるほどに首を縦に降った。それと同時に"助けて"と声がする。
残念、時間だ。
最後にサインをしてあげ、『空間』を開く。緑谷出久に手を振りながら、がんばれ、と口パクした。
「『仮面ライダー ウォルク』…さぁ、約束の時間だ。」
子どもとの"約束"を守るため、今日も君らを助けてあげよう。
そんな上から目線な本音を心にしまい、呼んだ人間に微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 13人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
