拾参話 ページ15
＿＿嫌な予感がした。悪寒が走る。
今日は久方ぶりに娯楽用品を買ってこようと街に繰り出してきた。家には子どもと3匹全員置いてきたが、嫌な予感は晴れない。
急いで路地裏に入り、『空間』で山の入口にワープする。
ワープした先は、まさに"阿鼻叫喚"だった。
山は燃え、人の怒号が聞こえる。
何故だ、いつものように『空間』を使い空間を捻じ曲げ、誰も入ってこれないようにしていたはず。何があったんだ。どうして、どうして。
誰に問いかけるわけでもなく、ぐるぐるぐるぐると同じ質問を繰り返しながら、家に向かう。もう着く、そんな所で人一倍大きい馬鹿みたいな声が聞こえた。
「いたぞ！！捕らえろ！！」
自分に向けられたわけではないその声に、考えていたこの場で一番悪い状況になっていると判断する。＿＿子どもが、危ない。
ほぼ無意識で『空間』を展開し、家の中に部外者が入れないようにした。そしてそのまま家に向かう。
着いてみれば、子ども相手に40〜50人の集団が弓を引いている、思わず笑いが出そうな光景が広がっていた。
集団は自分に気がついていないのか、隊長らしき人が号令をかけた。
「撃てー！！！」
すべてが、スローモーションに見えた。
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
「ぐっ…！」
なにがおこっている。
僕はただ様子を見ようとドアを開ければ突然見知らぬ人達が僕を見た途端攻撃を仕掛けてきて。
僕は咄嗟に避けて相手は効かないと思ったのか弓を仕掛けてきてええとそれで…？
これは避けれないと覚悟を決めて仁王立ちで立ってればいきなり突き飛ばされて目に見えるのは赤、赤、赤。
鉄臭い匂いがあたりに広がり誰かが庇ってくれたことはわかったけど逆光で顔が見えなくて。
一瞬だけ苦しそうな声がしてその声はとても＿＿僕を拾ってくれた人の声にそっくりで…？
そうして今ゆっくりと上げた顔が、とても見知った顔なのはどうしてだ？
「＿＿助けに、来たよ。」
あぁ、やめてくれ。そんなに顔を痛みで歪めながら、それでも笑顔でいるのは。
あぁ…心が痛い。
この人が不老不死であることは知っている。だから死なないのも知っている。でも、それでも。
僕だけが知っている。彼女が"祈"れば矢は刺さらないことを。でも、それをしないのは、紛れもなく僕がいるからだ。
なんだ、簡単なことだったじゃないか。
２回目の矢が放たれる時、僕は愛しい人の手を引いた。
＿てをとる＿
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
