拾壱話 ページ13
「ご飯食べ終わった？」
風呂の用意をパパっと終わらせ、リビングに戻ってくると、拾ってきた子どもが表情を明るくして自分に飛びついてきた。
レイの方を見れば疲れきったような格好で潰れている。
「…た、食べ終わったのか。じゃあお風呂に入ろう」
飛びついてきた子どもを抱き上げてリビングから出る。後でレイには好物のチーズケーキでも作ってあげようと思った。
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿
「…君、角生えてるんだ」
頭を洗っている途中何かにぶつかったような感じがしてよくよく見てみると、小さな角が生えていた。それの可愛らしさからつい、呟いてしまった。しかし、その後の反応に後悔することになる。
「っ！！…。」
あ、地雷踏み抜いたな。
小さな小さな角を少し痩せぎすな手で隠しながら、小刻みに震えている姿を見てそう思った。
とりあえず、自分がやらかしてしまったことには変わらないから、謝ろうと目を合わせる。
「…ごめん、触れない方が良かったね。」
「……。」
でも、と自分は言葉を続ける。
「自分は、その角…好きだよ。」
「だって、とってもカッコイイじゃないか。」
「…っ？」
気分を害してしまったかな、ごめんよ。そう言ってから一声かけ、お湯でシャンプーを流そうとする。シャンプーが流し終わったあと、子どもは小さく呟いた。
「…あ、りがと、う。」
たどたどしく、下手したら聞こえないような声量だったけど。それでも必死に伝えようとしていることがわかったから、なんだかとても嬉しくなった。
「どういたしまして」
そう言って微笑めば、その子もつられて微笑んだ。
その表情は、天使が舞い降りたかのように幻想的で儚げだった。
多分、自分が生きている限り、永遠に忘れないんだろうと思うほど。
…あ、ちなみにこの子、男の子だったよ。
＿＿地雷を踏み抜く＿＿
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作者名：羅氷華 | 作成日時：2018年1月17日 21時
