Colorful stories 3 （W.短編集）

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「リアタイしよーや！みんなで！」

小瀧の提案で、淳太の家に全員集合。
久々やん、こんなん。

飯食って、酒飲んで。
ワイワイやっとるけど、目が行くのは神ちゃんにばかり。
高身長イケメンに囲まれて、ニコニコ笑ってる。

ハマちゃんが兄組で話しとる間に、ブーブー言うとる小瀧を押し退けて、神ちゃんの隣に座る。

こっちなんか見いひんかった神ちゃんの拳が、ちょっとだけ握られたのが見えた。


「神ちゃん、何飲んどるん？」
「ハイボール」
「大丈夫なん？」

実は2杯目やろ。

「俺かてこんくらい飲めるし」

拗ねたように言うて、ハイボールを煽る首筋に目を奪われる。
潤んだ瞳に、体温が上がる。

神ちゃんにふれたくて。
ぬくもりを感じたくて。
酔ったせいをして、目を瞑って肩に寄りかかる。

「あー、飲みすぎたわぁ」
「ちょ、やめぇや。重いやん」
「ええやん、ちょっとくらい」

口ではそう言いながらも、ブランケットをかけてくれる優しい神ちゃん。
その下で、神ちゃんのぬくもりを手繰り寄せる。

きっと、今まで気づいてへんやっただけで、
いつも神ちゃんは、俺を優しく包んでくれてた。
今ならわかるのに。


神ちゃんは突然のことに驚いて、そっとその手を解こうとするけど。
離さへん。
ギュッと握り締める。




寝たフリやから、全部聞こえてるけど、ドラマの内容なんて、心臓の音で全く入ってこおへん。

ごめん、ハマちゃん。
ちゃんと録画見るから。

神ちゃんの手のぬくもりを確かめながら、主演俳優に謝罪する。




「そろそろ起こそか」

照史の声に、そっと手を離す。
感じていたぬくもりがなくなった。

まだ離れたないのになぁ。









淳太が呼んだタクシー。
俺と神ちゃんは同じ方向。


「神ちゃん、早よおいでや」

さっさと乗り込んで、手を差し出す。

神ちゃんはそれに気づかないフリして、離れて座った。
戸惑っとるけど、もうそんなんええねん。
俺の気持ちが届くまで、俺ががんばればええだけ。

鞄を握りしめてる手を取って、また手を繋ぐ。

「俺、手汗すごいな、」

神ちゃんにふれて、目が合って。
俺、めっちゃドキ ドキしてる。
それも、もう隠さない。




「すみません、止めてください」

突然苦しそうに声を上げ、停まったタクシーから転がるように降りていった。


支払いもせなあかんし、荷物もあるし。
追いかけられへんくて。


雨の中、俯いて歩く神ちゃんを、タクシーはすぐに追い越していった。

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