Colorful stories 3 （W.短編集）

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「なに？恋バナ苦手なん？」
「いや、結構好きな方なんやけど。なんか重岡くんと恋バナって、なんかイメージ湧かんくて、どんな顔してたらええかわからへん。笑」
「俺も、神山と恋バナするイメージ湧かへんわ。笑」

乾いた笑い声が途切れると、二人の間に、独特の沈黙が流れる。


「で、どんな人が好きなん？」

その空気がつらかったのか、呟くように声にした神山の言葉。

「恋バナするんや。」
「せっかくやから、」

なにがせっかくなんやろ。
あんだけ微妙な顔しときながら、またその話題振る？
神山の恋バナなんて、聞いても凹むだけなのに、恋バナしてる神山はかわいいんやろうな、なんて。
俺、どんだけポジティブなん？
今日、こんなんばっかや。
でもまあ、神山と仕事意外の話ができることは、正直嬉しかったりする。


「もう二年くらい片想い。」
「イヒッ！俺の勝ち！俺はなぁ、入社してすぐから！」
「てことは、社内の人なんや！」

はっ！
って手で口元を隠す。

「ここまできたら言うてしまい？」
「無理無理！」
「告白とかせんの？」
「うん。絶対叶わへんからさ、せめて目に留まりたくて仕事がんばってる。」

不純やろ？
って目を伏せて笑う。
ニィーってチョケて笑って見せてるけど、ちょっと寂しそうなのはお見通し。

「わかるで、その気持ち。」

つい、言うてしまう。だって、俺もおんなじやから。

「俺も、おんなじようなもん。成績トップとったら告白するって決めてんねん。」
「え！じゃあ俺、お邪魔虫やん！」
「そうね、言うてしまえば。笑」
「でも、ごめん。俺、手ぇ抜けへんから、がんばってな？」
「もちろんよ。自分の実力でトップとらな、意味ないし。神山もさ、がんばり？叶わへんなんて、言わんと。そんなに長いこと一途に思ってんから。」

ほんまは応援する気なんて、さらさらないけど、悲しそうな顔は見たないねん。


ありがと、
神山はポツリと言うて、手元のコーヒーを飲んで顔を歪めた。

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