2 ページ36
それからの大学生活は幸せの連続。
好きな人とずっと一緒に過ごせて、何よりも俺のことを優先してくれて、甘やかしてくれる。
こんな幸せなこと、ないやん。
同性を好きになったのも初めてやし、関係を変えようとは思わへんかった。
恋人にはなれなくても、こんなに幸せならええ。
そう思ってた。
けど、それも長くは続かなかった。
大学三年の夏、シゲが連れてってくれた水族館。
おっきな水槽の青い照明に照らされて、見つめ合ったまま、時間が止まる。
シゲの、熱を帯びた瞳。
シゲの気持ちが伝わってきて、両思いなんやってわかってしまった。
嬉しくて、幸せで。
必死に親友を演じながらも、諦めてたはずの“恋人”という関係を、期待してしまう。
「なぁ、神ちゃん。バレンタイン、ちょうだい？」
そう言ってくれたシゲ。いや、チョケてやけど。でも、シゲの気持ちなんて、目を見ればわかる。
去年のバレンタイン。
シチューとチーズケーキ作って、シゲに振る舞った。そんなん、いつもの俺らの延長やしバレへんやろ、って思ってたのに。
一年越しに、気づいてくれてたってわかって、恥ずかしいのと嬉しいので、心は大忙し。
渋々オッケーしたテイやけど、正直期待してしまう。
俺の気持ち、受け止めてくれるんやないかって。
シゲの気持ち、聞けるんやないかって。
けど。
やっぱり俺らは結ばれへん。
それが確定してしまったのも、この日。
見つめ合って、シゲが頬を撫でて、その手が唇にふれて。
ああ、やっとシゲと結ばれる。
そう思って、そっと目を閉じた。
シゲのキスを待つ時間。
きっとほんの数秒が、俺にはとてつもなく長く感じた。
そっと目を開けると、苦しそうに顔を歪めたシゲ。
シゲ。もう、ええよ？
ちゃんと、親友にもどるから。
「シゲ、おやすみ。」
この日、俺は、期待することを諦めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 418人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
7129(プロフ) - はみちゃんさん» はみちゃーん！今このページ開いてくれるなんて🙇♀️リクもらって付け足した緑サイド！緑くんの手紙の件は、私の頭の中だけにあった場面で、この場面を元にできたのがこの話でした✨読んでくれてありがとう〜😭 (2022年12月4日 13時) (
レス) id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
はみちゃん(プロフ) - 今になって。緑サイドあることに気づいて読みました……ぅぅぅぅ切ない……この話本当に本当に大好きで、まさか見落とししてるなんて……7ちゃんの紡ぐ切なストーリー本当に素晴らしいです。 (2022年12月4日 10時) (レス) @page38 id: 953c15c47b (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - 7129さん» こんなところへごめんなさい。起きてらしたら行ってみてください。 (2022年5月10日 23時) (レス) id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
7129(プロフ) - にんさん» にんさんがこんなとこに〜嬉しすぎ！にんさんに読んでもらってたとは、嬉しいやら恥ずかしいやら！しかも消しゴムの件で⁉︎あの白くて細い指先、うんうん！切なくてピュアで甘いの大好き、赤緑運命説大好きなんで、次のお話もせつな甘くする予定です！ (2022年5月3日 14時) (レス) id: f02b13cfb6 (このIDを非表示/違反報告)
にん(プロフ) - おはようさんです。この際なので(笑)言わせてもらいに参りました！(ぉーぃ)消しゴムの件、実は初見時泣いてしまった、あまりにも赤緑で、場面がぶわぁって浮かんで、緑さんの指先までも。尊い…(泣)溜め息案件でした。ピュア、楽しみに待っております。 (2022年5月3日 6時) (レス) @page10 id: 4b2b762418 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：7129
| 作成日時：2022年4月2日 17時
