西の探偵が恋をした (ページ7)

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静まり返った。
この事務所がこんなに静かになることなんかないから、居心地悪い。

「やっぱしげの勘はすげぇなぁ」

誰かが言うて、いつもの賑やかさが戻ってくる。

「しげの思うようにし？もう誰も反対せんやろ」
「みんな、ありがとう！」

嬉しくて、
まだ眠ってるであろう彼のもとへ階段を駆け上った。

部屋に入ると、彼は、寝かせた時のままの寝姿で、穏やかな寝顔でぐっすりと眠ってた。

きっと想像もつかない暮らしを送っていたはず。さっきまでいた場所だって、常軌を逸した組織。
でも、そんなこと忘れてしまうほど、無垢で穏やかな寝顔。

もしかしたら、寝とるときだけが、彼の安らぎやったのかもしれない。

それやったら…

早く安心させてあげたい、

もう大丈夫やでって伝えてやりたい、

心から笑わせたい。

そんなこと思いながら、ベッドの淵に腰掛けて、しばらくその寝顔に見入ってた。

むにゃり

なんか言うてる。食べてる？
口元が緩く動くと、ちょっとだけ笑ったように見えた。

「かわええなぁ」

まさかの独り言。
幼いその寝顔が愛おしくて、その頬をつい撫でると、瞼がピクリと動く。

と、次の瞬間、すごい勢いで体を起こした。
片膝を立てて、右手は枕の下。きっと武器を忍ばせていたのだろう。

一瞬驚いて、すぐベルトからナイフを取り出した。