西の探偵が恋をした (ページ43)

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Another side story ページ43

緑side

「兄ちゃん、大丈夫か…？」

初めて僕を心配してくれた、あなた。
初めて僕に笑いかけてくれた、あなた。

その言葉を聞いて、これまでなんとか張り続けてきた糸が、プツリと切れる音がした。

“ターゲットは重岡大毅。探偵事務所のボス。武器は持ってない。”

今朝、ボスからおりてきた指令。

俺は、いとも簡単に額にソレを当てた。
もちろん、ほんまには撃たへん。
脅して逃すつもりやった。

けど、
俺の心は、もう言うことを聞かなかった。

俺の恩人のしげさん。

苦しくて、悲しくて。
自分の心を消して生きてきた俺を、
あの場所から連れ出してくれた。

人と一緒に食べるご飯のおいしさ、

人と出かける楽しさ、

人と過ごすあたたかさ、

たくさんの幸せを教えてくれた、しげさん。

そんなしげさんといると、しげさんの笑顔を見ると、心臓が壊れそうなくらい、痛んだ。