西の探偵が恋をした (ページ42)

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「行くで？」

手を引いて、階段を上る。向かうは、俺の部屋。
後ろから飛んでくる冷やかしの声に戸惑う神ちゃんなんかお構いなし。
ただただ繋がった手のひらのぬくもりにじーんとして、そのまま手を引く。

今日は忘れずに鍵をかけて、そのままベッドに抱きついたまま、倒れ込む。

「神ちゃん、俺…今日こそ神ちゃんがほしい」
「しげさんなら、ええよ。僕も、もっとしげさんのものになりたい」

恥じらうように下を向いて、胸に頭を預けると、目の前にはかわいいつむじ。
そこに音を立てて、口づけを落とす。
腕が背中に回るの待っててんけど、一向にその気配もない。

そのまま口づけを二度と、三度と落としてもなお動かない神ちゃん。

「神ちゃん？」

顔を覗き込もうとすると、
ゆらりと揺れて、腕に倒れ込んできた。

すぅすぅと、かわいらしい寝息が聞こえる。

「神ちゃぁん！」

“しげさんがあったかいのが悪いねん”

“しげさんにぎゅってされるとホッとする”

そう言うてたっけ。
そんなん嬉しいに決まってる！決まってるけど！！

はぁ、また今夜もお預け。
やっぱり神ちゃんには敵わへん。

起こさないように、腕に抱いたまま一緒にベッドに寝転がって、
そっと一つため息をついた。

fin.→ Another side story