西の探偵が恋をした (ページ38)

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「お前が戻ってくるなら、他の奴らには手を出さない。約束しよう」

廃工場の二階、
調べ通りの場所にヤツがいて、対峙しているのは、お気に入りの革ジャンを着た神ちゃん。

「ほんまに？今までのやり口知っとる俺に、ソレ言うて信じると思う？」

俺らといる時とは違う、嘲笑を含んだ冷たい声。

ほら、やっぱり神ちゃんは俺らとおるべきなんやんって。
今すぐソイツをぶん殴って神ちゃんを抱きしめたい衝動に駆られる。

それまで建物の周りをうろついていた奴らに比べて、中は人が多い。
カメラを向けて、状況を仲間に知らせる。

神ちゃん一人にこんだけ頭数かけるってどんだけなん…
お陰ですんなりここに入れたし、ボスの姿をドアの隙間から拝むことができたからよかったけど。

取り戻したい神ちゃんには簡単には手を出さへんはず。となると、心配なんは流星の所在。

「神ちゃんおった。流星の居場所確認して」

インカムに呟く。

「神ちゃん、ボスと対峙しとる。室内にはボス以外16人、8時から4時の方向。外には2人、西と東に1人ずつ。これで全員やと思う」

「ボスと神ちゃんの距離はざっと7、8メートル。ボス、武器なし」

流星の姿を探しながら、敵の人数と配置を、淳太に伝えて作戦を立てさせる。