西の探偵が恋をした (ページ32)

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「神ちゃんっ、忘れ…」

「…もの」

下でハマちゃんと、遊んでたはずの小瀧。
一瞬目が合ったかと思うと、慌てて顔だけが引っ込んで、腕だけがドアの隙間から伸びている。その手には、何か包みのようなもの。
てかその格好、見られるより逆に恥ずかしい…

「のんちゃんっ」

ドアの向こうに出てって、あっちで何やら言い合ってる。

「なぁ、どしたん？」
「はい！しげ！」
「あぁ！のんちゃんのアホぉ！！」

小瀧との距離まで縮まりまくってて悔しい。けど、今は目の前コレ。
長身を生かして、神ちゃんには届かない高さで受け取る。

「手作りクッキーやって」
「え」
「あ、それっ！違うんです！
お母さんと、俺、妹…二人も妹おって、甘いもん好きって言うたらクッキー作ろうって話になって。中学生と6年生やったんで、そういうん、お菓子作りとか好きみたいで。おいしくできたから、お付き合いしてる人にあげたらええやんって包んでくれたからせっかくやしと思って、でも」

必死な言い訳も相まって、
かわいくてかわいくて、愛おしくてたまらない。

「クッキー好き！食べよ？ちょうどコーヒーもあるし！」
「っ！はいっ」