西の探偵が恋をした (ページ24)

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「桜、こんなに綺麗なのにな。俺、ちゃんと見たことなかった」

「興味もなかったし、花見てるなんて時間の無駄やと思ってたし」

「家族とは縁切ってるし」

「俺は、神ちゃんが思うほどええヤツちゃう」
「そんなことっ、そんなことないです、」

「俺、しげさんの言葉に救われました。」

「初めて“僕”を見てくれた人」

「初めて優しくしてくれた人」

「初めて…好きに、なった人、なんです」

「やから…ずっとそのままでいてください」

「今のしげさんが好きです」
「ありがと…神ちゃん…」
「へへっ。そろそろ食べましょ？サンドイッチ」

バッグから出して、包みを解き始めた。

「しげさんに食べて欲しくて」
「デート、したかったん？」
「はい…花見のニュースがあってて。ええなぁって見てたら、ピクニックしたらええってあっくんが教えてくれたんです」
「俺も初めてやねん、花見もピクニックも」

「神ちゃんがやりたいこと、いっぱい教えて？」

「俺が叶えてやりたい」

「初めては全部俺とがええ」
「いっぱいわがまま言うていいですか、」
「わがままって、いいな」

「心許してくれてる感じ」

「甘えてほしい。どんだけでもええから」

「これからも、いっぱい言うて。けど、俺にだけ言うてほしい。どんなんも受け止めるから」
「はい、」

鼻の頭赤くしながら、もりもり具の詰まったサンドイッチを差し出した。