西の探偵が恋をした (ページ14)

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組織の形態、ボスの情報、居場所、武器の取り引き相手と取り引き場所、運搬方法。密輸に関わる大物政治家の名前。
俺らが、警察が知りたがってた有力な情報ばかり。
これなら、警察も動き出す。

物静かな声で淡々と紡がれる言葉に、メモを取る小瀧以外は誰も動かない。動けないと言うた方が正しいのかも。
それほどに凶悪で残酷で…

そんなところで、この子は今までどんな気持ちで過ごしてたんやろう。心まで染まらないことで、きっととんでもなく苦しんできたはず。
でも、それでも、どれだけ今まで苦しんできたとしても、綺麗な心のままでいてくれてよかった、そう思う。

やから、俺らはこうして出会えた。

敵としてではなく、“仲間”として。

今までの苦しみは、どうしたってわかってやれない。

だったら、幸せを。
忘れることはできなくても、涙を流す暇がないほどのをでっかい幸せと愛をあげたい。

俺が、神ちゃんを幸せにしたい。

ただそれだけ。

「神ちゃんのお陰で、たくさんの人が救えるわ。ほんま、ありがとう」
「お役に立てて、よかったです」

「俺、ここ、大好きです。あったかくて、みんな優しくて、楽しくて。
あの…、よろしくお願いしますっ、」

自分の中にあったわだかまりを吐き出したかのように、スッキリとした顔で笑った。