西の探偵が恋をした (ページ13)

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「神ちゃん」

ゆっくり流れる穏やかな時間を遮ったのは、ハマちゃんの穏やかな声だった。

「神ちゃんはもう、俺らの仲間や。ずぅっとここにおってええんやで？」

一瞬不安がよぎった顔が、スゥっと落ち着いた。

「お願いがある」

「神ちゃんにしかでけへんお願いやねん」

「つらいと思うけど、頼んでもええかなぁ？」

大事な話なんやなって、神ちゃんも感じとったんやと思う。
背中ぴんって伸ばして、ハマちゃんの方を向くと、はっきりとした声で応えた。

「神ちゃんがおったとこのこと、教えてくれへん？俺ら、これ以上誰かが苦しむん、見たないねん。犠牲者ももう一人も出したらあかん。
そのために、警察に協力しとるとこやねん」
「あ、自分、警察の人間です！」

嬉しそうに拳銃を取り出すも、そんなものには動じない神ちゃん。小瀧はええリアクションを期待しとったんやろう。(ハマちゃんのような)けど、無駄やとわかったのか何事もなかったかのように拳銃をしまって、警察バッジを指し示した。

まっさらな神ちゃんの心は、俺らの言葉を、神ちゃんを大切に思う気持ちを、そのまま受け取ってくれる。

息を吸った。
少しだけ震えてるけど、
神ちゃんのその表情にも声にも、迷いはない。