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「ただいまぁ」
「お。ほんまにええ子にしてたん？」
よしよし、
なんて触られへんくせに触ってくんな。
「お前も一人やってんなぁ」
「ん？あぁ、見たん？せやで」
「ちっちゃい頃におとんもおかんもおらんくなって、それからは一人や」
「それでオトモダチ気取りか。ええご身分やなぁ」
「もう解放してくれへん？」
「お前と違って、俺にはもうチャンスはないねん」
「それは違う」
「俺は、君とお友達になりたいわけやない。寂しさ埋めたいわけやないねん」
「一人なんてもう慣れたし。結構楽やない？一人って」
俺の怒りなんてどこ吹く風で減らず口叩くから、腹立たしい。
「慣れれば気ぃも遣わんでええしな。一生それでええと思ってた。今の生活が一生続けばええと思ってた」
「それなのにさぁ、また一緒がいいって思ってもんてん」
急に、寂しそうな顔を見せる。
「君に出会って、また“寂しい”気持ち、思い出してもうた」
「君とおると、寂しくないの。心がほわっとあったかくなんの」
そんな優しい目で見んな。
俺は、一人。
また置いてかれるのは嫌だ。
また一人ぼっちになるのは嫌だ。
それなのに、
「なぁ、一緒にいよ？」
「俺が一生一緒におるから」
「もう一人にせえへんから。俺も…一人にせんで？ねぇ、君とおりたいの」
コイツが、そんな目をするから。
それって、お前が死ぬまで？
死んだ後も？
死んでも一緒におってくれるん？
訊きたいのに、喉が詰まって言葉が出てこない。
初めて触れた手の温度は、なんかあったかくて、でもガッサガサで。
離したくないな、
そう思ってしまった。
「捨てたら殺す」
「そしたら一緒におれるな」
「…っ、」
手を伸ばせば、
懐かしい、“人”の体温。
そっと小指を絡めると、顔が近づいてきた。
fin.
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
