幽霊屋敷ロマンチカ ページ44
「どうですか…やっぱりいますか？」
ビクビク震える大家おっさん。何度も脅かせば、ついに専門家を連れてきたと言うわけか。
和服を着た若い男。確かに“力”はある。
「いますね、いわゆる“地縛霊”ってやつです。彼はこの家…この場所に住み着いていて…人を寄せ付けないようにしてるってわけです」
「以前ここで何かありましたね？」
「そう…ですね。悲しい事件が。この建物になる前ですけど」
いつもの追い出す算段、
コイツ相手には通用しそうにない。
「どうします？このままにしておいても、さして悪いことになるとは思いませんが」
「そっ、それは困ります！このアパートの家賃収入がなかったら、私は「しっ」
ヘラヘラした男が、急に黙った。
「わかりました。除霊、しましょう。下がって」
大家のおっさんを庇うように手を広げると、真っ直ぐにこっちを見た。
祓われてたまるか。
ここは、俺のうちやねん。
俺にはここしかないねん…っ！
「出ておいで？」
「悪いようにはせえへん。成仏したら楽になるで？さ、」
優しい猫撫で声。
聞くわけないやんけ。
「デ テ ケ…」
「⁉︎」
「コ コ カ ラ デ テ ケ…」
「コ コ ハ オ レ ノ イ エ…ダ レ ニ モ ワ タ サ ナ イ」
大抵は声を聞かせて姿を見せれば、恐れ慄いて飛び出していく。
姿を見せる。
「っ！」
ソイツは目を大きく見開いて、
後ずさったかと思うと、後ろに派手に尻餅をついた。
「かわいいっ」
「…？」
聞き間違いかと思うような言葉。
耳を疑うも、
「かわいすぎる…っ」
「どタイプやっ！！！」
俺の第二の人(霊？)生は、この数奇な出会いによってハチャメチゃにされることになる。
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
