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「みんなぁ、聞いた？ひどくない⁉︎」
「最悪」
「まじでうざ」
「最っ低！」
目の前の女子の部屋のドアが開くと、罵詈雑言のあら し。四面楚歌とは、まさにこのこと。
とりあえず…よかった。
ドアが閉まる音がして、静まり返ったロビー。そっと出てくと、そこには神山くんが立っていた。
「藤井くん、ありがとぉな」
両手、後ろで組んで、
こてん、首を傾ける。
やっば。
めっちゃかわいい…！
てかエスパーなん⁉︎なんでバレてんの？アイツの悪行も、俺の杞憂も。
「心配してくれたんやろ？」
「お、おぉ」
なんとか頷くと、部屋に戻った。
ものの、どうしても頭から離れない神山の顔。
何かある、そんな気がして眠れなくて。
寝返り打つのすら疲れて目を瞑っていれば、隣のしげがそっと布団から這い出した。
スマホを照らせば、もう1時を回っている。
「とぉも」
甘い声。一瞬、誰の声かわからへんかった。
振り返ったのは神山。隣に立つと、笑い合う。
「嫌なことされへんかった？」
「俺は全然。向こうさん、大丈夫かな？かわいそうに。悪行、ぜーんぶ女子にバレちゃった。笑」
「自業自得やし、ええんちゃう」
「でもね、実はあの子と両思いやったんよ」
「ともが心配する必要ない。付き合うても、中身があれや。不幸になる」
「それもそうやな」
喋ってるの見たことのない二人。
クラスの人気者のしげと、
女子としか関わらない神山。
さっき俺が隠れていた隙間で、
二人の手は、強く結ばれている。
照らすのは、自販機の冷たい灯りだけ。
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
