Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ41)

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女子と男子の部屋の境目のロビー。
先生は、まだお風呂見回ってるらしく、誰もおらへん。

自販機の裏、ちょうど雪景色の見える位置に隠れると、耳を澄ます。

わいわいと声が聞こえ始める。
お風呂上がりの女子集団と神山。時間ずらして入ったらしく、女子とおんなじ時間になったらしい。

「なぁ、神山」

声をかけると、神山軍団が立ち止まる。

「神山、話あんねんけど」
「え？俺？髪乾かしたいんやけど」

いつもセットばっちりの神山の無防備な黒髪…みんなとおんなじジャージのはずなのに…なんやろうこの感じ…
確かにこれはクるものがある。

「すぐ終わるから」

手首を掴むと、心底嫌そうな顔をして、

後でな？
って女子を部屋に戻した。

「湯冷めするから早よしてくれる？」
「あの、さぁ。話があって」

はっきりものを言う神山。よく女子の代弁者として男子と言い合いになるのもあってか、もしくは好きな女子との距離が近いというヤッカミからか、神山は男子に敬遠されている。

「俺…神山のこと好きやねん。付き合わへん？」

ぎこちない。一周回って、名演技。
神山の返事の前に飛び出そうとすれば、

「ふはっ」

笑い声がして、

「俺とお前が釣り合うと思ってんの？うけるわ」

手を叩く音が響いた。
予想外の展開に、そのまま自販機の裏で息を殺していると、

「とりま、自分の顔見てから言いや？意地の悪い顔してんで？」

痛快に吐き捨てた。

「なんっなん、コイツ💢」

「お前のこと好きなわけないやろ！遊んでやっただけやし！何いい気になってんねん💢」

「お前と付き合うとか、ほんま罰ゲームやわ！」

結局ヤツは、全てをぶちまけてしまった。