Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ36)

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「こんにちは」
「あっ、え、」

慌てつつも、ぺこりとお辞儀。
いきなり電車で声かければ、そらびっくりするか。
その奥のハマチャンは、目を白黒させて、

「え…カミチャン、えぇ⁉︎この人っ、」
「ハマチャンっ、しーっ」

カミチャンが止めてくれて、ことなきを得る。

「俺もカミチャンて呼んでええ？」
「はい、もちろんです」
「なんでカミチャンなん？」
「神山なんで、昔っからそう呼ばれてて」
「かわい」
「あの…」
「俺は大毅て呼んで」
「…いいんですか」
「何が？」

声をかけてしまえば、今まで何やったん⁉︎ってくらいすらすらと出てくる言葉。

「赤、すきなん？」

口篭ったのをいいことに、訊く。
スニーカー、スマホケース。
服も赤、結構着てる。今日だって、赤のニット帽。めっちゃかわいい。
そら推しのメンカラ、やもんな。

「は、はい、」
「休み、何してんの？」
「ギター弾いてるか、ゲームとか」
「インドア派なんや」
「ダンスもします」
「へぇ！俺はピアノ弾くねん！」

知っとるやろうけど。

「なぁ、どんな曲弾くん」
「…いろいろと」
「例えば？」

ぐぅと押し黙ってしまう神ちゃん見てたら、意地悪したくなる気持ち。まるで、小学生の男子みたい。こんな気持ち、初めてで。