Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ34)

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残念。

電車で会えなかっただけで、もう寂しい。
ちょっと前までは、“会えたらラッキー”くらいやったのに。
気持ちが膨らんでるの、認めざるを得ない。

大学生、よな？
何歳なんかな。もしかしたら同い年？
めっちゃ派手な服、どこで買ってんねやろ。
俺と真逆よな。服もやけど、見た目も。
もしかしたら中身も真逆なんかも。

電車に揺られながら、思うのは、今ここにいない彼のことばかり。

ふと窓の外を見ると、

やっべ、
一駅乗り過ごしてしまったらしい。

慌ててホームに降り立った。
(そのまま逆向きに乗って帰るのはなんか悔しいからやめたった！)

乗り越し料金払ったからには、楽しまな！
バイキングやからって元取ろうとするみたいな？笑
なんとなくわかるものの、歩いた経験はないその場所を、ふらふらと歩く。

も、結局オシャレな店なんて入られへんくて。
俺そんなキャラちゃうし。
やっとこチェーン店のコーヒー屋さんのカウンターに向かう。

飲むならブラック。
本日のコーヒー、今日は奮発してグランデで。
やって、早く帰るんも癪やし。

横のカウンター席に座ってマスクをとった。

こんな穏やかな時間は久しぶりで。
たまにはええな、こんな大冒険も。だいぶ小さな大冒険やけど。笑

まだ熱いコーヒー、猫舌の俺にはまだ飲めない。両手のひらを温めてると、

ふと見覚えのあるシルエット。

カウンターの中にいたのは、

まさかの“カミチャン”

緑のエプロンつけて、いつもの派手な服とは違って、真っ黒なシャツ。
真っ白な肌が、めちゃくちゃ映える。