Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ32)

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開演30分前。
着替えもセットも終わって、淳太とゆっくりモニターを覗く。

「流星、床拭けよ」
「ん」

流星は、やっとシャワーから出てきたところらしく、髪からは雫が垂れている。

「何必死に見てんの。笑」
「カミチャンおらへんかなって」
「来るんや」
「言うてた。ハマチャンって友達と来るって」
「てか、こんな豆粒でわかるわけないやろ」
「大きさ的に米粒ちゃう？」
「そこはいいから」
「なぁ男性二人組おったら教えてや」

「ハマチャンは180くらいありそうなほっそい撫で肩の人」
「お。流星並み」
「カミチャンはどんな子なん？」

流星も興味あるらしい。
そら気になるよな、あのしげが恋した人とか、気にならんわけがない。

「…綺麗でかわいい感じの人。肌真っ白で、柔らかそうで、髪は黒髪、ふわっふわ。けど服はめっちゃ派手な感じ」
「メロメロやんっ」
「ファンサすんねや。レア岡やな」

メンバーにヒィヒィ笑われながらも頼んどけば、ライブ半ば、その情報は入るわけで。
まさかの見事に通路側。

うちわには、

　
“しげ大好き！”
って赤の太文字。

めちゃくちゃファンサ返しにくいやんけっ！
と言いつつ、考えたら立ち止まってしまって。
彼が目の前で、ジタバタ隣のハマチャンのない肩を叩き始めて。