Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ29)

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ヤバいくらい、どストライク。
真顔も寝顔も、笑った顔も。全部から目が離せなくて。

てかさぁ…
白いベレー帽こんなに似合うやつ、この世におんねや…
まるで女の子のように可憐。かと言うて、しっかり男な指先に、肩幅。

たぶん、仕草やら表情？
柔らかさを醸し出すのは、きっと彼の人柄。

見れば見るほどに惹かれてく。

同じ車両を狙って、乗った俺。例の彼をまた見かけて、自分の気持ちが間違ってなかったと確信する。

なんしてんねやろ…ストーカーやん、

アホなことしてる自分が恥ずかしくて後悔してたのに、彼を一目見た瞬間、そんな後悔は一ミリもなくなって、頭の中は、いかにして彼に怪しまれずに見るかという重大案件。

というかなんというか…

距離、近すぎひん？
電車の中やと言うのは差し引いても、太ももも肩もピタリとくっついていて、
おまけに顔を寄せて笑い合っている。
上目遣い、そんな近い距離で見たら、俺なら鼻血吹くわ。

あぁ…！今ハマチャンがくしゃみしたらこの世の終わり…ちゅーできてまうやんっ！
てか、電車揺れんな！まじで危ないっ！

能面を被って、頭ん中はまるで中学生男子。
しゃーないやんけ、青春投げ打ってアイドル一筋やってきてんもん。むしろ褒めてほしいわ！

「なぁ、クリスマス、シフト頼まれてん！」
「あ、俺も俺も！ほんならお互い寂しくクリスマスはバイトしますか」
「ほいだら、その後俺ん家来おへん？チキン作っとくから」
「まじで？カミチャンの料理大好きやわっ！」
「ふふ。じゃあクリームシチューも作ろかな」

クリスマスを共にするようか恋人はいない、
ハマチャンも恋人ではない。
それがわかっただけでめちゃめちゃホッとしてる。