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………
落ちた拍子に潰れた箱の角、半分開いたフタ。
そこから覗く、ぐしゃぐしゃに崩れてしまった生クリームのケーキ。転がった苺。
我慢なんかできるわけなかった。
「…覚悟、できてんねやろなぁ？」
「は？」
「おいお前ら。覚悟できとんのか訊いとんねん」
「ひぃっ、コイツ…ヅカの碧虎⁉︎」
「ヅカの頭や！え？」
「と…も？」
「待てや」
黒い特攻服の襟元、片手で掴んで引き寄せる。
「訊いてるやろ？ちゃあんと返事せぇ。挨拶と返事は基本やろ」
「ひっ」
「俺の宝物をお前ら……」
「大毅くんが…せっかく…俺のケーキ…うぅ、」
「とも」
仕返しなんて、もうどうでもよくて。
ただ、もう戻ってこない大毅くんからのプレゼントを見ると、涙が止まらなくて。
思わず、その場にうずくまる。
「そんくらい大丈夫やって！」
「また買うたるから」
甘い声と、逞しい腕に包まれる。
「今度は2人で選ぼ？」
「ん…」
「さ、今からケーキ屋さんまでデートやな？とも」
眼鏡を外した大毅くん。ダテやったらしいソレは、もう必要ない。
ほっぺた包まれて、街中なのに恥ずかしげもなくキスをくれると、
「二度と俺とともの前に現れんな。わかってるよな？」
穏やかに言うた。
二人は、ちびりそうな顔して即消えてった。
「とも…俺、」
「どんな大毅くんも好き」
「っ！俺も！俺もどんなともも愛してる」
関西の二大勢力の抗争がなくなったと風の噂で聞いたのは、
それからしばらくしてのこと。
fin.
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
