Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ22)

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赤side
ともと小瀧の背中が豆粒ほどになっても、まだ動けなかった。

「あれ…」

ともを抱きしめてたアイツ…
見間違えるわけはない。
あれは確かにヅカのナンバー2、“藤井流星”
あの長身にあのルックス、名前までイケメン。忘れる要素が一ミリもない。

それに、彼は当時の天敵。
ナンバー1であり姫でもある伝説の男“ヅカの碧虎”を守るためなら情け容赦ないと噂だったヅカの蒼壁。実際何度もタイマンしたことあるけど、彼を破らなければナンバー1にお目見えできないため、ヅカの碧虎を見れたのは、ただの一度だけ。

「アイツもとものこと…」

「ライバルやったんか…？」

抱きかかえられたともの赤い頬に、危機感が募る一方。
これは居ても立っても居られない。
一ヶ月の記念日、ともを喜ばせてやらなければ…

俺から離れられないくらい、幸せに幸せにしてやらな…

けど…藤井は、俺には気づかなかった。
大丈夫、大丈夫。
ともにはバレてない。

ヤンキーに偏見がないとは言え、やっぱりともに知られるわけには行かない。

優しくて穏やかなともにふさわしい男になるって、
二度と戦わへんって決めたんやから。

拳を握ると、とりあえずケーキ屋さんに走った。