Colorful stories 14 （W.短編集） (ページ13)

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Jealous sweet night ページ13

ピコン
珍しくスマホが鳴る。これまた珍しく、今共演してるアイツから。

“神ちゃん！！！めっちゃかわいいんやけど！！！”

背後に写ってる黒い椅子からして、ゲームチャンネルのスタジオらしい。と言うことは服的にも今日の写真。

興奮気味の文面と共に送られてきたのは、
肩に寄せ合って、カップルか⁉︎ってくらいの距離の自撮りツーショット写真。

「え…」
「どしたん？」

思わず上げた声に、おふろ上がりホヤホヤのパック神ちゃんが、不思議そうな目を向けてくる。
間に合わせの「別に」を特段怪しむこともなく、

「そ？」

そう言うと、パタパタスリッパの音を立ててあちこち動き回っている。

「なぁ、神ちゃん。今日の仕事どうやった？」
「どうって、普通やけど。ホンマどうしたん？」

パック剥がすと、目の前に並べたボトルを次々と手にとっていく。

最近お気に入りのボディークリーム。
柑橘系の爽やかな香り。

柔らかいクリームに指を突っ込むと、

「え。塗ってくれるん？」

期待に満ちた目で、

へへへ、
なんて無邪気に笑う。

膝から手を下に滑らせて、気にしてる踵までしっかりと。優しく優しく塗り広げる。

鼻歌なんか歌っちゃって。

「何かええことでもあったん？
「え、別に？」

顔、赤いやん。
今、何考えてんの…？
やっぱアイツと何かあったんかなって。

嫌や、そんなん。
絶対渡したくない。

胸が苦しくて。不安で不安で。

ご機嫌な顔も、弾む声も。
何もかも閉じ込めてしまいたくて。
思わず唇を塞ぐ。