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「神ちゃん先輩♡」
至近距離でニコニコ。
鼻と鼻がぶつかりそう…
「のんちゃん、近い」
「神ちゃん先輩、いい匂い〜」
「もぉ！触らんで！くすぐったいってぇ。仕事すんで！仕事！」
慣れって恐ろしい。
毎日繰り返されるセクハラ。みんなすっかり慣れてしまったらしく、にこやかに鑑賞されてる始末。
「とも〜おはよ♡」
のんちゃんなんか見えないとばかりに、課の入り口から手を振る大ちゃん。
「あかんっ、あんなだらしない顔、目の毒やから！」
立ち塞がれて、頭抱きかかえられて。
「ちょっ、のんちゃん！離して。苦しいから」
押し返してもびくともしない。
「だらしないのはどっちやねん！お前こそ下心だだもれのスケベ顔、どーにかせえ！」
「てか離れろっ！」
社長と新入社員というより、似た者同士。
2人ともなんだか楽しそうに見えるのは俺だけじゃないはず。
それはそれで、寂しいな…
なんて思ってたら…
ツンツン
肩を叩かれて振り返ると、そこには流星。
「神ちゃんも大変やな。ガキんちょ二人も抱えて」
俺の癒しの流星が微笑んでる。
「りゅーせぇだけやぁ、わかってくれるんっ」
広げられた両手に、思わず飛び込むと、
大きな手で優しく背中を摩ってくれる。
「ともぉ〜！涙」「神ちゃんせんぱぁい！涙」
背中で嘆きを聞きながら、
あぁ、落ち着くわ…
親友の胸で目を閉じた。
「心外やなぁ」
やいのやいの声を遠くに聞いてたら、低い声が流星の胸を伝って耳に届く。
その言葉に、頭の上にたくさんの？が浮かんだのは、俺だけやなかったらしい。
静まり返る課内。
流星は、片方の口角を上げて、固まる二人を見てる。
「俺が神ちゃん、恋愛対象として見てないなんて、一言も言うてへんのに」
ちゅっ
一瞬職場ということを忘れてしまうような音が響く。
つむじの辺り、キスされたんやって。
気づくと一気にこの状況が飲み込めて。
「流星？」
「ってことで。俺も入れて？」
「流星〜💢」「先輩っ！！」
断末魔の叫びが響いた。
敏腕社長の苦難の日々はまだまだ続く。
fin.
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
