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帰ってきても、部屋着に着替えても、食卓についても、大ちゃんの口から“小瀧”という言葉は出てこない。仕事の話すらしない。
ただ。
俺の名前を呼ぶ回数が増えて。
隙さえあれば手を繋いで。
キスの回数も増えて。
大ちゃんを見ると、100パー目が合って。
めっちゃ見られてるなぁって、気づいてる。
ふれないのも隠してるみたいで嫌やし。
もし逆の立場なら、俺は本人の口から聞きたいから。
「大ちゃん」
「ん？」
箸を置くと、大ちゃんも倣って背筋を伸ばした。
不安なの隠して。
平気なフリして。
全然笑えてへん、大ちゃんのぎこちない笑顔。
「のんちゃんのことやねんけど、」
一瞬で顔が歪む。けど、大事な話やもん。ちゃんと話したい。
「俺、のんちゃんのこと好きになることはない」
「やって、俺は大ちゃんが好きやもん」
「やから、大ちゃんは、なんも心配せんでええからな？」
「わかってる」
「それは、心配してないから」
「あいつカッコええし、背ぇ高いし、イケメンやし、めちゃコミュ力高いけど」
めっちゃ心配してるやん。笑
顔だって、そんなに不安そうにして、無理して笑って。
その苦しそうな顔に、愛されてるって感じて嬉しくなる。
「そんなん関係ないやん。ほんなら大ちゃんは俺のどこが好きなん？あんなちっちゃい頃、俺のどこに惹かれたん？」
「どこって…うまく言われへん。俺にはともしかおらんって、小さかったけどなんかわかっててん」
「せやねん、俺も。俺にも大ちゃんしかおらんし、大ちゃん以外考えられへん」
「偶然じゃなくて、必然なんよ」
「やから、」
「大ちゃんは、どーんと構えといたらええねん」
「のんちゃんは、ちゃんと立派な営業に育てるから、それは任して」
「大ちゃんの会社のためやもん」
ようやく見せてくれた、屈託のない笑顔。
「じゃあ、さ」
わかりやすく瞳が揺れる。
「ええよ。いっぱいしよ」
不安なんて、吹っ飛ばしてやりたい。心を全部、俺で満たしてあげたい。
電気もつけっぱなし。
ご飯も食べかけなのに。
二人で寝室で、愛を囁き合う。
ずーっとキスして、
口から、繋がったところから、
大ちゃんの愛がいっぱい入り込んできて、
身体も心もお腹いっぱい。
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年11月27日 20時
