このリングに願いを込めて (ページ10)

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「神ちゃん甘いもん、好きなん？」
「めっちゃ好きです！店閉めてから、時々ハマちゃんが作ってくれるんです。ブラック飲めへんのですけど、これなら何杯もいけます！」
「ほんなら、神ちゃんのおすすめで。しげは飯食ってへんからチャーシュー丼も1つお願いできる？」
「はい！」

ご飯をよそって、
焼き場で汗びっしょりの店長さんに飲み物渡して、

忙しなく動き回ってる彼を、目で追ってしまう。

かわいらしいな、
愛おしいなって。

「めっちゃええ子やんかぁ」
「恋愛初心者にしては、見る目あるわ」
「やろ？…めちゃくちゃかわええねんて」
「しげらしくないわ！笑」

2人してケラケラ笑い転げてるけど、こちとら大真面目に恋してんねんて💢

「アイス食べてる時の顔と言ったらもう、めちゃくちゃかわええの。見せたらへんけど！」
「ベタ惚れやん」
「ええやんええやん、あの子なら安心やわ」

ただの同僚の片思いなのに、勝手にお見合い進めるバカ親みたい。
俺以上にはしゃぐこいつらが、あったかくて嬉しい。

「大事にしたり？」
「やからまだ何も」
「これから、がんばんねやろ？」
「応援してるから。な？」

小声で言うたそれを噛み締めてたら、目の前にはええ香りのチャーシュー丼。

「お待たせしました、炙りチャーシュー丼です」

もりもりのネギとど真ん中に鎮座する卵の黄身に、食欲が刺激される。

「いただきます！」

あまりの美味さに箸が止まらず、焼き鳥とビールまでガッツリ。

「ネギ大盛りは神ちゃんのサービスやで！」

がっついてる途中、店長さんがそんなこと言うから、めちゃくちゃむせたし。

「食欲不振の時は“濱ちゃん”やな」
「間違いないわ。笑」

元気が出たのは、飯が美味かったおかげなのか、神山くんに会えたおかげやったのか。