このリングに願いを込めて (ページ8)

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おしゃれな革靴モタモタ脱いでる淳太の隣でビーサン脱いでさっさと座った照史に続こうとしたところで、

「いらっしゃいませ」
「あ…」
「え⁉︎」

お冷と小鉢を持ってきた店員の兄ちゃんと目が合って。

「大毅さんっ⁉︎」

キラッキラの目に、体温が急上昇するのがわかった。

「神山くんっ！バイト先の居酒屋さんて」
「はい！まさかここで会えるなんて！」

俺たちのやりとりを不思議そうに見上げる照史と淳太。

「あ、コイツら“上司”」
「で、こちら、神山くん。最近知り合って仲ようなってんけど、大学生さんやねん」
「へぇ！“神ちゃん”言うん？初めまして」

胸元のネームプレート

“神ちゃん”と書いてある。
下にちっさく
“おすすめはアフォガードです”とも。(アフォガードって何？)

名刺を出さないでくれる淳太。
俺が“上司”という言葉を使ったことで、察してくれたんやろう。
ほんま、ムカつくくらいスマートなヤツ。

「初めまして。ご来店、ありがとうございます。バイトの神山です」

頭を上げると、あのくしゃくしゃの笑顔。
つい、見惚れてしまう。

「かわええなぁ、よろしく、神山くん」
「とりあえず生3つと適当にハマちゃんのおすすめを」
「はい！お待ちください」

ちょっとはにかむように笑うと、下の方でちっさく手を振ってカウンターに戻ってしまった。