このリングに願いを込めて (ページ41)

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「神ちゃんに、今朝もう一度告白しました。俺もちゃんと言うとかんとフェアやないと思って」
「ははっ」

つい吹き出す。

「なんか…真っ直ぐなとこ、神山くんと似てる気がする。かっけーな、そういうとこ」

一瞬苛立った顔は、すぐに和らいだ。
穏やかな笑顔。
きっと、神山くんにはそういう顔見せてきたんやろう。
意識は右ポケットに奪われてる。

「聞いてます？俺のこと」
「付き合ってたってことだけ」
「そっか…」

「一年生の夏から付き合って、卒業と同時に別れました」
「なんで別れたか訊いてもええ？」
「俺も神ちゃんも、お互いを信じられへんかったんです」
「2人は悪くない」

淡々としてたリューセーくんの顔に、怒りが滲む。

「神ちゃんのこと好きやったやつが、卑怯なことしたんです。2人がすれ違うように嘘吹き込んで」
「けど、うまくいかへんかった。それが事実やん」
「なんでそんなん言えんの⁉︎アイツがおらんかったら」
「一緒やろ。きっとどっかですれ違ったわ、俺ら」

力無く笑う、望くん。

「神ちゃんのためって物分かりのいいフリしてたけど、結局本音で話すんが怖かっただけ」

「傷つくん嫌で逃げた。自分で招いた事態やねん、」

押し黙ったリューセーくん。
友達のためにこんなに怒れる。そんなこと、自分にはきっとできない。

「なんか…ええなぁ、ほんまに仲ええんやなぁ。俺、ボクシングのために全部捨ててきたから、そういうん、羨ましい。大事にしいや？」

びっくりして、すぐ、
はい、
小さく言うて頷いた2人。
顔を見合わせると、笑った。