このリングに願いを込めて (ページ5)

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「今日もバイトやったん？」
「はい、焼き鳥くさいでしょ？笑」

シャツを摘んで、パタパタと仰ぐ。

「それやめて？めっちゃ腹減るわ。笑」

めっちゃ嫌がる顔しながらも、見えなそうで見える白いお腹に目を奪われて、一人ドギマギしてるんは内緒。

それなのに、

ほらほら！
飯テロ〜！

なんて言いながら、さらに迫ってくる。
イタズラな笑みが子どもっぽくてめちゃくちゃかわいらしい。

試合を終えて、
しばらくは食事の制限もなく、なんなら今が一番飯がうまい時期。
なのに、なんか食べる気せえへんくて。
照史にぶちぶち言われながらプロテインだけ流し込んだ腹の虫は、今になって鳴き始めた。
まじで、絶対焼き鳥の匂いのシャツ最強説。

「あっちのコンビニでええですか？」

公園を出ると同時に、立ち止まる。
彼が言った店は最寄りではなく、少し離れたところ。
着くまで喋れるわけやし、そんなの大歓迎でしかない。

「アイスはこのコンビニって決めてるんです」

そう言ってたくせに、彼がいざ店に着いて見つめているのは、まさかのプリン。

顎を指でさわりながらめちゃくちゃ迷ってるから、この前のアイスとプリン両方取って、カゴに入れる。

「水代もこれでチャラ。な？」

遠慮できないように。先手必勝。
見よ、大人の力！(って思ってる俺、めちゃくちゃガキ…)

慌てる彼を置いてお会計を済ませてしまう。

コンビニの外に出ると、また一気に湿度の高い空気に包まれる。

「溶ける溶ける！」

大騒ぎしながら公園まで急ぐ。
そんな些細なことで、心が弾む。