このリングに願いを込めて (ページ38)

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「神山くんっ」

ドアを開けるとめちゃくちゃびっくりした顔。

「ごめ！ノック忘れてた！」
「ふふ。いつもありがとうございます」
「顔色ええやん」
「はい、明日退院していいって言われました。……大毅さんとこに帰ってもいいですか？」
「もちろんやん！もうめっちゃくちゃ大歓迎！！」

ホッとしたように笑うと、

「今朝の人、のんちゃんって言うんですけど、」

俺が座るのを待って、ゆっくりと話し始めた。

「高校の時、付き合ってました」
「うん」
「流星はのんちゃんの幼馴染で、俺もめっちゃ仲良くて、3年間ずっと3人でおって、、」
「うん」
「それで、、「神山くん」

言葉に詰まった顔が、苦しそうで。

「無理して話してへん？」

「話したかったら聞くし、話しにくいんなら話さんでええよ？」

「気にならん言うたら嘘になるけど、でも、神山くんにそんなに苦しそうな顔、させたくない」

「いつか、話したくなったら話して？」

「聞いても俺の気持ちは変わらんし、俺のやることも変わらんし」

「やから、気ぃ遣うんだけはやめて？そのままでええから」
「…ありがとぉ。大毅さんがいてくれて、よかったって、ほんまに思ってます」

「もうちょっと待っててください」
「いつまででも。一生でも待てる自信あるし！」
「一生は俺がしんどすぎる。笑」