このリングに願いを込めて (ページ27)

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「あ…」

風呂上がりの神山くんの色っぽさとパジャマのオフ感にこっそり見惚れてたところで、小さな唇から声が漏れた。

「どしたん？」

みるみる顔面蒼白になる神山くん。

「布団買いに行くの、忘れてました…」

ごめん、気づいてて言わへんかった。
むしろ、気づくな！って願ってた。←切実

「ソファお借りしてもええですか？」
「俺のベッドで寝たらええやん！」

さぞ当たり前のように言うてやる。

「そんなんっ、大毅さんのベットやのに」
「めっちゃデカいし、二人寝ても全然余裕やし」
「え…」

二人で寝るとは思ってへんかった？
おっきな目が、ぱちくり瞬いた。

「そんな…迷惑かけられません！」
「迷惑なら言わへんし」
「アスリートの睡眠、めっちゃ大事でしょ？よくマットレスのCMで言うてるじゃないですか、眠りの質が〜って」
「大丈夫大丈夫、眠るんめちゃくちゃ得意やから」
「そういうことやなくて…」

もしかして意識してくれてる？
それくらい顔を真っ赤にして。

「とりあえず今日はないから俺のベッドな？で、支障あったら明日買い行けばええやん。車出すし」

押しに弱いの知ってて、決定事項押し付けて。

結果、
ぐぅ、と黙った神山くん。

アイスを食べ終わった神山くんは、わかりやすくご機嫌。普段はしっかり者なのに、やっぱり年下やな〜なんてそんなところで感じる。

明日も休み、
夜はゆっくり二人でおしゃべりして、もっと神山くんのこと知りたかったけど。
疲れたんやろう。テーブルについたまんま、うとうとし始めて。

「神山くん、もう寝よか」
「んーん、まだおきとく」
「明日早起きしたらええよ。な？」

肩を抱くように立ち上がると、寝室のドアを開けて、電気を消す。

「さ、奥行き？」
「ん…だいきさんも…ねる？」
「一緒に寝よな？」

いつもより舌ったらずな喋り方。
眠いとこんなに幼くなるなんて…

なかなかベッドに入ろうとしないから、
先に横になると、タオルケットを持ち上げて招き入れる。

前髪が邪魔でそっと掻き分けると、閉じた瞼、長いまつ毛がふるふると揺れている。

タオルケットかけると、丸まってこっち向いたから、すぐ近くにある顔。

「おやすみ」

もう夢の中。返事はない。

「好きやで、ほんまに」

まだ眠ってる時にしか言われへんけど。
いつか伝えたいなって。

まだ21時。眠気なんてなかったはずなのに、こんなにドキドキしてて眠れそうもなかったのに。
気づけば眠りに落ちていた。