このリングに願いを込めて (ページ26)

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照史に憧れてた時の気持ちを思い出す。
会ったこともなかったのに、その勝利が自分のことのように嬉しくて。
俺も強くなりたいっていつも以上に走り込んで熱中症になりかけたこと、あったっけ。

そんなこと考えてるうちに、カゴに入っていく食材たち。

肉、魚、野菜に果物。
乳製品に至るまで。
栄養士さんに口うるさく勧められてきた食材が、どれも入っている。

無性に伝えたかった“ありがとう”は、その背中に吸い込まれてしまったから、その中にそっとチョコとバニラのアイスを忍ばせた。

予想通り、テーブルに並んだ料理は、見本のような満点の栄養素が取り揃えられていた。

「神山くん、もしかして…勉強してくれた、とか？」
「はい、あっくんに色々教えてもらいました」

「お口に合いましたか？」
「めちゃくちゃうまかった！こんなん毎日食べたいわぁ！」
「ちゃんと毎日作りますよ、もちろん」

サボるなって意味やなくて…
という弁解はできない。実はプロポーズもどきのアピールです、なんて告白すらできてないのに言えるわけないし。

「ほんまに夜は大丈夫ですか？」
「ええってええって！大丈夫やって。朝作ってくれるだけでどんだけ助かるか！」
「土日は作れるんで、食べたいもんあったら言うてくださいね」

二人で食卓を囲むの想像してすでにニヤけてる口元を隠すようにチキンサラダを頬張った。