このリングに願いを込めて (ページ23)

今日:4 hit、昨日:130 hit、合計:79,003 hit

23 ページ23

「大毅さん、おかわりは？」

ビールを2杯、その後ハイボールを2、3杯飲んだ後は、何をどれだけ飲んだか憶えてへん。

飲みたい気分やけど、せっかくの神山くんとの時間、憶えてないなんて勿体なさすぎるから、

「神山くんとおんなじので」
「ウーロン茶ですけど、いいんですか？」

返事の代わりにニィって笑っとく。

ゴトリと重厚な音を立ててジョッキを置くと、隣に座る。
意外と近い。肩がふれて嬉しいなんて、めちゃくちゃガキやけど、嬉しいもんは嬉しいねん！

「大毅さん、ほんまに明日でいいんですか？」
「ん？」
「引っ越し。さすがにお疲れやないですか？」

お気遣いは嬉しいし、そういうところも好きやけど、一日も早くうちに来てほしいもん。

「オフやしちょうどええやん」

「早ようちおいでや！」
「居候させてもらうのに、荷物運ぶのまですみません」

めちゃくちゃ眉毛下げて、頭も下げて。

「ベッド、早よ言うてくれたら売らんでよかったのに」

言うても後の祭りやけど。
ハマちゃん家に入りきれないベッドは、泣く泣くリサイクルショップに売ったんだとか。

「明日終わったら、布団買いに行きます！あとは…」

神山くんの頭の中は、すでに明日からの生活。
山に籠ってしまったら、もう彼に声は届かない。

好きな子眺めながら飲むウーロン茶は、どんな酒よりうまかった。