このリングに願いを込めて (ページ3)

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「ダイキさん？おやすみなさい」

たぶん、生涯で一番穏やかで幸せな「おやすみなさい」

噛み締めつつ目で追ってた背中は、急にしゃがみ込むと、ベンチの辺りで何かを拾い上げた。

「なぁ！それ！」
「大丈夫です。まだ溶けてないみたい」

アイスなんやなって、彼の言葉でわかる。
駆け寄って取り上げると、袋の中で原型をとどめていないコンビニ限定のアイスクリーム。
気まずそうに目を逸らす彼の、小さくて優しい嘘。

「これはご馳走さして？」
「アイスくらい大丈夫ですって」
「やないと気ぃ済まへん」

手首掴んで、最寄りのコンビニを頭の中で検索してると、

「あの、」

腕時計見て、困った顔。

「今日はもう遅いんで帰ります。来週もまたいます？」
「おん！いつでも！」
「じゃ、また来週のこの時間来るんで、その時に買ってください！アイス」

空を見上げる。

月が綺麗なんて思ったのはいつぶりだろう。

今別れたばっかなのに。
もう会いたいな、

なんて。

俺、アホちゃう？

夜の公園で、一人ニヤける。
久しぶりに世界が色づいた気がした。