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「もうちょいショー魅せてやぁ!」
「十分魅せたやろ」
「言うなぁ。開始10秒でKO、伝説やわ!たまらんかったわぁ!」
「ほいで。これは?モンチさんのおかげですか?」
マウスピース外されながら目をやると、相も変わらずポカンと口が開いてる神山くん。
拳を上げると、我に返ったらしい。
にこぉって笑うと、小さく拍手をくれる。
「神山くん、ボクシング初めてやねんて」
「ふーん。ええんちゃう?」
「悔しいけど、かっこよかったわ…」
地団駄踏みながらも満足そうなセコンド様。
控え室で今だにテンション高い照史からのボクシング愛を受け流していると、ドアが開いて覗いた淳太。
「なんや淳太か」
「おぉ、ひどい言いようやな。ほんなら神ちゃん、俺と飯でも行く?」
淳太の後ろから覗いたのは、
「お疲れさまでした!」
会いたくて会いたくてたまらなかった人。
「めっちゃカッコよかった!すごかったです!!」
興奮そのままに、感動を伝えてくれる。
その視線がふと下がると、ちょっと下で止まる。
練習でついたアザに、白い指が微かにふれる。
「痛く、ないですか?」
「うん」
「俺、また大毅さんのボクシングしてるとこ、見たいです」
「やめへんよ。やっぱ好きやもん、ボクシング」
「また勝つとこ、見せたるから。次も見に来てな?」
君のおかげ。
それを伝えるには、もうちょっと勇気が足りないから、こっそり心の中で伝えとく。
いつの間に照史と淳太はいなくなっていて、神山くんと二人。
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作者名:7129 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時:2023年9月19日 19時