このリングに願いを込めて (ページ19)

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二度目の防衛戦。

昂ぶる感情。
まだや、まだやって。
自分を抑えて
闘争心を抑えて。

高らかに名前が呼ばれて、拍手と歓声がこっちまで聞こえて、

ついに幕が開く。

それと同時に俺の中の全てを爆発させる。

突き上げる両の拳、

歓声が心地いい。背中を押してくれる。

リングサイド、いっちゃんええ席。
チャンピオン特権使って、神山くんに座らせた。
いっちゃんええとこで、俺のこと見ててほしいから。
本気の俺、見ててほしいから。

リングロープをくぐってすぐ、目が合って。
拳を上げたけど、呆然とした神山くんは自分にやって気づいてへんみたいで、相変わらず間抜けな顔してる。

雰囲気に圧倒されたのか、
ポカーンと口を開けて。

かわええ、めっちゃかわええ。

けど、もっともっと驚かせてやる。
見せてやる、俺の大好きなボクシング。

レフェリーの声、適当に聞き流して頷いて、

グローブがぶつかると、背中に感じるロープの感覚。

……いける。

「Box！」

ゴングが鳴る。

感覚が研ぎ澄まされて、

足が、体が軽い。

視える。

……見える！

数回ぶつかるグローブとグローブ。
頬をかする風。

今だ！

派手な音とともに、得意の右ストレートが、決まった。

割れんばかりの歓声。

KO、
ノックアウト。

肩を抱く照史のテンションは今までにないほど高い。