記憶 (ページ9)

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今まで絡みのなかった俺らが一緒にいると、やはり目立ったらしい。

クラスメイトも担任のハマちゃんも、始めは物珍しそうに見てきたり、いろいろ言うてきたり。
けど、2日も経てばすぐに慣れたみたい。

俺らが一緒にいるのは、決まってたことのように当たり前になっていった。

「神ちゃん…」

「誕生日、」

言うたつもりなかったけど、一体どこから聞いたのか…。

珍しく、ご機嫌ななめなしげ。
見たことない顔してる。

しげが言うてるのは、たぶん、明後日の俺の誕生日のこと。

お付き合いが始まって、1週間も経ってへんし。
男同士やし。
完全に“親友”って雰囲気やし。

「俺、誕生日やねん！」
なんて、自分から言われへんわ！

「あ、うん」

口にできたのは、間抜けな返事。
やっと絞り出したのに、

「今週末なんやろ？」

「なんで言うてくれへんの？」

「知らんと過ぎたらどうすんねん、」
「やって…」

捲し立てるように言う。
こんなしげ、初めて見たかも…

怒らした？
そんなに傷ついた、？
つい口籠ると、

ごめん、って手を重ねる。

「言われへんよな？わかってる、」

「ごめん、八つ当たりした」

「なんか知らんかったんが悔しかっただけ」

親指が、俺の手の甲をなぞる。

教室なのに、
周りに人いっぱいいるのに…

恥ずかしいけど、
でも、悲しそうなしげの顔見てたら、振り払うなんてできひんし。

なんて、心の中で言い訳。

「土曜日、俺にちょっと時間ちょうだい」
「…うん、」

謝っても、たぶんしげは嬉しくないから。

頷くと、しげはほっとしたように笑った。