記憶 (ページ35)

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「誕生日の日…ごめんな…？」

「俺やって、ほんまは会いたかってん」

「ごめんなぁ」
「怒ってないって」

気にしてない、って言ったら嘘になる。精一杯の否定の言葉。ほんの一瞬の迷いは、大毅さんには伝わってしまったらしい。

「寂しかったよなぁ」

腕枕した腕が、そのままぎゅうって抱き寄せる。

「あん時、初めて覚悟した。神ちゃんとバイバイせなあかんのやなぁって」
「やめよ？もう聞きたない、そんなん」

背中を向けると、大毅さんが俺の体を丸ごと包み込む。
その素肌の感触に、
昨日の夜の初めて見た大毅さんを思い出す。

色っぽくて、優しくて、
俺を見る時だけのあの甘い眼差し、疑う余地なんて一ミリもなく、彼はしげだった。

「これからは、ずーっと一緒。約束したやろ？」

離れていた時間も、きっと愛されてたんやなって確信できる。
姿形なんて、関係ない。

彼を愛している。

彼といたい。
今度は、ずっと一緒に。

それだけが、俺の願い。