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あの日以来初めて来た、思い出の海。
砂浜に大の字に倒れ込むと眩しくて、腕で目を覆う。
「…っ、」
あの時、この場所で繋いだ痩せ細った手、
焦点のもう合わない瞳、
ふれたカサカサの唇。
瞼の裏には、昨日のことのように愛するアイツの姿が浮かぶ。
最期ぐらい思っきり泣こう。
二年間堪えた涙。
全部出し切って、
笑ってお前んとこ逝くから。
「アホぉ！！」
「置いてくなバーーーカっ！！！」
こんなにお腹に力を入れたのは、久しぶりだった。
こんな大声出すエネルギー、俺ん中に残ってんな。
しばらくそのまま、涙を拭うこともせず嗚咽を漏らしていると、ふと頬に何かがふれた。
そっと腕をのけると、太陽の光の中に見えたのは、真っ黒な瞳。
チョンチョン
砂を払ってくれているらしい。
頬にふれたその指先の体温が優しくて、また視界を腕で覆った。
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作者名：7129
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=7129
作成日時：2023年7月10日 18時
