記憶 (ページ19)

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待ちに待ったしげの誕生日。

珍しく朝から、しげからの着信。

『神ちゃん…ごめん』

少し掠れた、沈んだ声。
ほんましげらしくない。
がっかりとかやなくて、心配の方が勝つ俺の心。

『熱出してもうて、夏祭り、行かれへんくなった…』
「しゃーないやん！大丈夫やって！」
『ほんま、ごめん』
「大袈裟やなぁ、また行けばええやんか！」

スマホの向こう、沈黙が流れる。

「それより大丈夫なん？」
『熱出すの自体久しぶりすぎて、体がびっくりしてるわ』
「お見舞い、行ってもええ？」
『あかん！神ちゃんに風邪うつすわけにはいかへんもん』
「えー、誕生日、一目でええから会いたかったのに…」

「あっ！おめでとう！！誕生日！！」
『へへっ、ありがとぉ、』

『神ちゃんが一番に言うてくれた』

スマホの向こうから聞こえたのは、涙声。

「やっと同い年やな」
『実は…17になりました〜！一個歳上！』
「は？なんで？はぁ？」

家庭の事情で、高校入るのが一年遅れたんだとか。

「まじで⁉︎歳上かぁ〜、えー、信じられへん！笑」
『どういう意味⁉︎』

笑うとわかる、つらそうな呼吸。
もっと話していたいけど、休ませてあげたい。

「治ったら連絡して」
『わかった』
「まぁ、もうすぐ学校、始まるしな」
『せやな、とりあえず、いっぱい寝て早よ治します』

じゃあ、

って、いつもどっちも切らへんのやもん。

「バイバイ」

今日は俺から。
早よ休んでほしいから。