記憶 (ページ15)

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「そういえばさぁ、この前のバスケどうしたん？」
「ん？何が？」

行き先も決めず、ぶらぶら。
歩幅が同じやと、こんなにも居心地がええのか。しげの隣は、ほんまにしっくりくる。

「足速いのに、なんというか、」
「あぁ！俺、球技めっちゃ苦手やねん！笑」

一回もシュート決まらへんかったの、しげに見られてたらしい。

「神ちゃんにもでけへんこと、あんねんな？」
「は？俺をなんやと思ってるん⁉︎」

「俺、泳がれへんもん」
「うっそ、まじで？」

示し合わせることもなく腰掛けたのは、俺ん家の近くの公園のベンチ。

もう日が暮れる。
子どももおらへん、静かな公園。

「プールとか海、行かへんの？」
「行かへんなぁ」

「てか、海行ったことないねん」

「えっ！ほんなら、夏なったら海行こ！しげ、泳げるんやろ？教えてや」
「えー？溺れるヤツやん」
「やからしげと行くんやろ？」
「焼けるで？焼けたら痛いタイプちゃうの？」

白…
なんて言いながら、ほっぺツンツンつつくから、こっちが照れてまう。

「日焼け止めめっちゃ塗る！で、かき氷食べたい！」
「そっちが目的やろ。笑」
「海で食べたら絶対美味いやん！」
「やから夏祭り行くんやろ？」

「俺ハワイアンブルーが好き」
「俺も！あれ食べたくなるよな、なんでやろう？」
「ベロ、すごい色になるヤツやん！笑」

舌を真っ青にしてベーってするしげが目に浮かぶ。
子どもっぽくて、イタズラ大好き。
付き合って知った一面。

街灯が灯ったのを合図に、しげは立ち上がった。