記憶 (ページ14)

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「「じゃんけーんっ、ほいっ」」

っしゃ！

勝ち取った最後のポテトをぱくりと咥える。
もうしなしななソレ、全部口に含むと、ジンジャーエールで流し込んだ。

目の前には、
食べた後、全部トレーに載せて、出る準備万端のしげ。

「さっ、行こか」
「あ、神ちゃん！」

ほぼ同時。
立ちあがろうとしたところ、引きずられるようにもっかい腰を下ろす。

「あの、さぁ…夏祭り…行かへん、？」

駐輪場の掲示板のポスターを思い出す。
子どもの頃からよく行ったっけ。最後に行ったのは、確か中一くらいのはず。

日にちを問おうとしてやめる。
そういえば、陸部のやつらが行こうって盛り上がってた。
ってことは、練習のない日。

2人で夏祭りなんて、ほんまにカップルみたい…
そんな顔真っ赤にして誘ってくれて。

照れくさいけど、嬉しい。

しげの言葉、仕草、その表情に、しげの気持ちを感じる毎日。
俺、しげの特別なんやって。
俺も、しげといたいんやって。
どんどん意識させられて、正直どうしてええんか、困ってる。

「…ええよ」
「っしゃ！」

ガッツポーズ。
そんなことでそんなに喜んでくれたら、俺も嬉しいし。

ひとつ、しげとの約束ができた。
しげと過ごす、初めての夏休み。

「さ、そろそろ行きますか！」

普通に言うたくせに、
照れたのか、立ち上がってさっさと店を出てったしげ。
慌ててその背中を追いかけた。