記憶 (ページ2)

今日:23 hit、昨日:49 hit、合計:46,068 hit

1 ページ2

死んだも同然。
あの時、お前と一緒に。

二年、ほんまに長い長い二年やった。

お前がいない世界は、白黒で、ひどく退屈で。

出会う前は、どうやって息をしてたんやろう。

走ることも、

笑うことも、

泣くことすらも放棄した、味気ない日々。

こんなにつらいのに、

皮肉なことに、時間も俺以外のみんなも、何事もなく流れていく。

「ええ天気やな」

腹立つくらいの青空が、虚しさを駆り立てる。

「そっちも晴れてんの？てか天気とかあるん？」

返事なんてきこえるわけない。わかってる。

もう走る気なんて起こるはずもなく、

学校行って授業受けて、親のために適当に一番近い大学行って。

毎日同じループの繰り返し。

「なぁ、俺、がんばってると思わへん？」

「一回くらい褒めてくれてもよくない？」

手を伸ばしても、硬くて冷たいだけ。
当たり前か、石やもん。

「そろそろ返事くらいしてや」

「いつ迎え来てくれんの？」

気持ちのいい風。
草の揺らめく音が穏やかで、力が抜ける。

「もう…、ええよな、」

平日の墓地。人なんていない。
泣いても、その涙を拭ってくれる人もいない。

「無理やねん…お前おらんと。俺、生きてる心地、せえへんねん…」

「もぉ…つらいねん..っ、」

いくら嘆いても、

笑いかけてくれるお前はもういない。

「会いたい…」

「俺の幸せ…そろそろ叶えても、ええやろ、」

「前回は譲ったったんやからさぁ、」

この一ヶ月の間に枯れ果てた花を手に、彼の眠るその場所を後にした。